
はじめに
2003年に7%だった日本のトーリックソフトコンタクトレンズ(SCL)処方率は2016年に13%とわずかに増加したが,諸外国に比して低いのが現状である.実際,弱度乱視のある患者でも球面SCLを処方されることが多く,その背景には,トーリックSCL処方の経験が少ないゆえに処方がむずかしいという先入観や,過去にうまくいかなかった苦い経験などがあるように思う.適切な乱視矯正は良好な視力が得られるだけでなく,眼精疲労の改善など見え方の質の向上が期待できる.乱視用SCL処方について2回に分けて解説するが,第1回目となる今回はトーリックSCLの適応の見きわめと検査の注意点について解説する.