
はじめに
コンタクトレンズ(CL)装用者の老視処方には、少なからぬ煩わしさを伴うものである。なぜならそこには、老視用CL 自体の問題と、患者とのコミュニケーションの問題が存在するからである。前者については、いずれの老視用CL であっても、患者の調節力を回復させるような光学系をもっているわけではない。そして、処方の方法は単焦点CL とは異なる。一方、患者とのコミュニケーションの問題にはどのようなものがあるだろうか。患者が老視についての知識を十分もっていないこと、老視矯正方法の知識不足から矯正に抵抗感をもっていること、老視矯正による遠近の見え方が理解しにくいことなどが考えられる。本稿では、患者とのコミュニケーションが円滑に運ぶ方法を提示する。